ツイッターを見ていたら、「オリンパスのカメラ、操作が難しい! 改善するよう皆さんもメーカーに呼びかけを!」といった趣旨の発言が見られました。
私はオリンパスユーザーではありませんが、そのカメラの操作系が分かり辛いということについては、実感しています。
職場にいる人がOM-DのE-M5およびMK2を使っているのですが、何か基本的な操作(具体的には忘れましたが、確かISO感度の変更や、連写モードへの切り替え方など、極めてベーシックなこと)が分からなく、私が質問を受けたけれども実際に見てみても直感的に操作ができない。近くに、より経験の長いオリンパスユーザーがいたので聞いてみても解決できなかった。結局、取説をダウンロードしてみたけれども、即座にはわからず、解決まで結構時間がかかった。そんなことがありました。そして、それは1度や2度ではありませんでした。
知人の写真家(dc.watchに執筆もしている)も、オリンパスの難解な操作系についてはいつも改善を要望しているけれども反映されないと、ぼやいていました。
複雑で分かりにくいメニューシステムがなかなか改善されない理由は、当事者に聞かなければ実際のところは分からないのですが、以下のようなことが原因かと思われます。
カメラを制御するファームウェア(コンピュータのプログラム、ソフトウェア)の中に、メニューシステムを司る部分があります。こうしたプログラムを各機種ごとに1から開発することはありません。それを行えば、膨大な時間、コストがかかってしまいます。ですので、過去に開発した、既存のものに対して、新しい機種に合わせた追加・修正を加えていきます。
コンピュータのプログラムは追加や修正を繰り替えし受けながら変化していきますが、そうした更新が積み重なるにつれ、徐々にその後の新しい仕様に対応するための柔軟性を失っていきます。規模が大きくなるにつれ、ちょっとした変更でもそれが既存機能に与える影響の検証が大変になります。
そうなると、何らかの機能追加をする場合、コストとの兼ね合いで既存機能になるべく影響を与えないやり方で行うことになります。それは開発側に都合の良いやり方であって、利用者側のメリットを考慮したやり方とは異なることが多いのです。そして、このやり方で機能の追加・変更を繰り返していくと、どんどんユーザーにとって使いづらいものになってゆくのです。特に、ベースとなる過去のものを作った時点で想定外だった新しいものを付け加えるような場合、この傾向が強まることになります。また、開発を始めた時点でどれだけ上手に設計したかによっても、その後の変化に対する柔軟性は違ってきます。
以上はソフトのメンテナンスに関わる事情ですが、それ以前に、もともとのメニューシステムの仕様の設計がうまくなかったということもあろうかと思います。基本的な操作が直感的にできないのはそのせいでしょう。それに、新機能の追加に柔軟に対応できないというのも、元々のメニューシステムの仕様的な構造に問題があるのだと思います。
この問題を解消するには、一旦いままでのものをチャラにして、メニューシステムの仕様を再検討し、ソフトを新しく作りなおすしかないと思われます。しかしこれには大変な時間・労力・費用がかかります。今、オリンパスにそれを行う余力がおそらく無いのだと思います。
残念なのは、最近出たPEN Fもこの傾向を引きずったものになっているということ。個人的なことですが、子供時代に家にあったカメラがPEN Fだったので、いずれデジタル版のPEN-Fが安くなったら買ってみようかとも思ったのです。しかし、これのメニューシステムが複雑で難解だと聞くと、やはりその気が萎えてしまいます。PEN Fは今回きりなわけですし(「PEN Fなんとか」は出るでしょうけど)、PEN Fのファームウェアが刷新されることはないでしょうから、「使いやすいPEN-F」を使えるチャンスは我々にはないわけです。これは残念という他ありません。